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長女ひとりで完結する仕組み。遺言書と相続実務の流れを、ひとり暮らしの私が書き出してみた話(やさしい終活 Vol.34・実務編)

長女ひとりで完結する仕組み。遺言書と相続実務の流れを、ひとり暮らしの私が書き出してみた話(やさしい終活 Vol.34・実務編)

2026年5月24日

長女ひとりで完結する仕組み。遺言書と相続実務の流れを、ひとり暮らしの私が書き出してみた話(やさしい終活 Vol.34・実務編)

「やさしい終活」シリーズの第34弾・実務編。

Vol.22 遺言書という安心は「遺言を書く気持ち」のお話。 Vol.34 はその続編、実際の手続きフロー・必要書類・費用を、長女が迷わず動けるレベルまで具体的に書き出します。

この記事の使い方

長女(遺言執行者)が、私が亡くなった後にこの記事を開いて、上から順番に読んでいけば手続きが進む構造にしました。 家族のための「相続実務マニュアル」として書き残します。

ゆるらの相続構成(全体像)

  • 相続人:子ども3人(長男・長女・次女)
  • 配偶者:なし(離婚)
  • 不動産:なし(賃貸ワンルーム)
  • 金融機関:楽天証券・楽天銀行・住信SBIネット銀行(dNEOBANK)の3社
  • 遺言:自筆証書遺言を自宅の重要書類ファイルに保管(法務局保管制度は使わず、検認は長女が家庭裁判所で対応)
  • 遺言執行者:長女
  • 分配:子ども3人に各3分の1ずつ均等

→ シンプルな構成。「不動産なし・金融機関3つ・子ども3人均等」は相続実務でいちばん楽な部類です。

遺言書の2種類を比較

項目自筆証書遺言公正証書遺言
書く人本人(手書き)公証人
費用¥0(自宅保管の場合)/¥3,900(法務局保管の場合)¥5〜10万円
証人不要2人必要
場所自宅で書く公証役場へ行く
紛失リスク自宅保管は要注意/法務局保管なら ゼロ公証役場保管で ゼロ
検認手続き自宅保管なら必要/法務局保管なら不要不要
死後の発見自宅の保管場所を家族に伝える長女が公証役場に請求

→ 私は自筆証書遺言を自宅保管で残します(後述の理由)。 → 自宅保管の場合、家庭裁判所での「検認」手続きが必要(1〜2ヶ月)。検認も長女が自分でできるので、専門家費用はかかりません。

ゆるらの遺言書ひな型(超シンプル)

A4用紙1枚に、自分の手書きでこんなふうに書きます。

■ タイトル「遺言書」

■ 書き出し:「私、ゆるら(本名:◯◯◯◯)は、以下のとおり遺言する。」

■ 第1条:私の有するすべての財産を、私の長男◯◯、長女◯◯、次女◯◯の3名に、各自3分の1ずつの割合で相続させる。

■ 第2条:本遺言の遺言執行者として、長女◯◯を指定する。遺言執行者は、本遺言の執行に必要な一切の権限を有する。

■ 第3条(家族へのメッセージ):財産は長男・長女・次女の3人で仲良く均等(3分の1ずつ)に分けてください。手続きは長女が中心になって進めてください。長男と次女は必要な書類の提出などで協力してください。家族みんなが健康で穏やかに暮らしてくれることを願っています。

■ 末尾:作成日(令和◯年◯月◯日)・住所・氏名・押印

→ 全文を自分の手書きで(財産目録はパソコン作成可)。 → 日付・氏名・押印が必須。 → 鉛筆ではなく、ボールペンや万年筆など消えないもので。

私が自宅保管を選んだ理由

私は自筆証書遺言を、自宅の重要書類ファイルに保管します。

法務局保管にもメリット(検認不要・改ざんゼロ)はありますが、私が自宅保管を選んだ理由は3つ。

■ 「お母さんの引き出しを開ければ会える」ほうが、長女にとって自然 法務局に取りに行くより、自宅の決まった場所を開ける流れのほうが、心の動線がやさしいと感じました。

■ 相続ファイル1冊にまとめて入れておきたい 銀行情報・葬儀社の連絡先・行動メモと一緒に1冊のファイルに入れておけば、長女が迷いません。

■ 検認も長女が自分でできる 家庭裁判所への検認申立ては、長女ひとりでできる手続きです。1〜2ヶ月かかりますが、専門家費用はかかりません。

自宅保管の場合に必要な「検認」手続き

検認とは、家庭裁判所が遺言書の存在と内容を確認する手続き。

■ 申立て先:被相続人(私)の最後の住所地の家庭裁判所 ■ 必要書類:遺言書原本・私の戸籍(出生から死亡まで)・相続人全員の戸籍 ■ 費用:収入印紙¥800+検認済証明書¥150+戸籍取得費(合計¥5,000〜¥15,000程度) ■ 期間:申立てから検認完了まで1〜2ヶ月 ■ 担当:長女(遺言執行者)が単独で申立て可能 ■ 報酬:専門家依頼不要(自分で申立てれば追加費用なし)

→ 検認が終わると「検認済証明書」が発行される。 → 銀行・証券に提出するときは「遺言書+検認済証明書」のセットで提出。

遺言があるとなぜ相続手続きが楽になるか

遺言なしの場合の大変さ:

  • 子ども3人全員の戸籍・印鑑証明・実印が必要
  • 遺産分割協議書を3人で作成・署名・押印
  • 1人でも動きが遅れると全体が止まる
  • 遠方の兄弟姉妹は書類往復だけで数週間

遺言+遺言執行者(長女)指定がある場合:

  • 長女ひとりで銀行・証券に書類提出可能
  • 長男・次女の印鑑証明・実印は原則不要
  • 長男・次女は「自分の戸籍1通の取得協力」のみ
  • 長女が代表者として手続きを進める

→ つまり、遺言と遺言執行者指定があれば、長女ひとりが動けば手続きが完結する仕組み。

死亡から口座凍結までのタイミング

「死亡した瞬間に自動で凍結」ではありません。

  • 銀行・証券は、家族が連絡した時点で初めて凍結
  • 連絡しなければ、しばらくは口座が動く状態が続く
  • 法定期限なし

凍結前に葬儀費用を引き出す場合

  • 技術的には可能(キャッシュカード+暗証番号でATM)
  • ただし「相続財産」扱いになるので、領収書を必ず保存
  • 兄弟姉妹に「葬儀費用に◯万円引き出します」と事前同意(LINEでもOK)

凍結後の仮払い制度(2019年から)

  • 法定相続分の3分の1かつ1金融機関150万円まで、相続人単独で引き出せる
  • 葬儀費用25万円(火葬式プラン)は楽勝でカバー可能

長女が銀行・証券に出す書類セット(遺言あり最小)

  1. 遺言書(自宅保管なら「検認済証明書」付き)
  2. 被相続人(私)の死亡記載のある戸籍 1通
  3. 長女の戸籍 1通
  4. 長女の印鑑証明書(発行後3〜6ヶ月以内)
  5. 長女の本人確認書類(運転免許証など)
  6. 各社の「相続手続依頼書」(電話で取り寄せ)

→ 総費用:約¥5,000〜¥10,000(戸籍代+郵送費) → 専門家報酬ゼロで完結可能

法定相続情報一覧図のメリット(さらに費用削減)

法務局で無料で発行できる「法定相続情報一覧図の写し」を作っておくと、戸籍束のコピーを複数の金融機関に回せます。

作り方

  1. 戸籍一式を集める(出生から死亡まで)
  2. 自分で一覧図(家系図のような書類)を書く
  3. 法務局に提出
  4. 無料で複数枚の写しを受け取る(必要枚数:3社なので5枚あれば十分)

→ 戸籍の追加発行費用が節約できる → 楽天証券・楽天銀行・住信SBIに同時並行で提出可能

ゆるらの3つの金融機関への連絡先

金融機関相続専用窓口受付時間
楽天証券0120-600-060平日9〜17時
楽天銀行0120-776-910平日土日祝9〜17時
住信SBIネット銀行0120-669-812平日9〜18時/土日祝9〜17時

長女がする最初の電話の伝え方

「契約者(◯◯)が亡くなりました。遺言書があり、私が遺言執行者です。 相続手続きをしたいので、必要書類のリストを郵送(またはPDF送付)してください。」

→ これで各社から書類リストが届きます。 → 3社の必要書類は9割共通なので、戸籍一式を1回集めればOK。

手続きにかかる期間

  • 書類が揃ってから提出 → 凍結解除・振込まで1〜3週間
  • 全体(死亡から完了まで)2〜3ヶ月が目安
  • 楽天証券が一番時間がかかる傾向 → 最初に連絡推奨

相続税の心配(基礎控除)

ゆるらの場合、相続税は心配いりません。

基礎控除の計算式

「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」が基礎控除額です。

ゆるらの場合は法定相続人が3人なので、3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円。

→ 遺産総額が¥4,800万円以下なら相続税ゼロ。 → ゆるらの場合(賃貸・不動産なし・金融機関3つ)、基礎控除内に収まる可能性が高い。

相続税の申告期限

  • 死亡後10ヶ月以内(基礎控除を超えた場合のみ)
  • 期限を過ぎると加算税がかかる

取得費加算の特例(株・投資信託を売る場合)

楽天証券の投資信託(S&P500・日本高配当株)を長女が相続して売却する場合:

  • 相続税が発生した場合のみ使える制度
  • 相続税の一部を「取得費」に加算できる
  • 利益が小さく見え、所得税が減る
  • 条件:相続開始から3年10ヶ月以内に売却

→ 相続税ゼロなら関係なし(基礎控除内なら使えない)。 → もし相続税が出たら、税理士に確認してから売却するのが安全。

相続ファイル1冊の完成形(A4クリアファイル)

家族が迷わず動ける「相続ファイル」の中身。

入れる順番

内容
1表紙(相続案内メモ:遺言あり/執行者長女/3人均等)
2遺言書(死亡後は検認済証明書を追加)
3相続準備シート(金融機関3つの口座情報)
4証券口座メモ(楽天証券のコード)
5銀行口座一覧(楽天銀行・住信SBIネット銀行)
6相続関係図(被相続人 → 長男・長女・次女)
7デジタル契約一覧(やさしい終活シリーズの目次でOK)
8もしもの時の行動メモ(家族への手順書)
9緊急連絡カード(子ども3人の電話番号)

→ これを「重要書類の引き出し」に入れて、長女に「ここにある」と伝えるだけ。

緊急連絡カード(財布に1枚)

財布やスマホケースに入れておくと、病院・救急で家族にすぐ連絡が行きます。

名刺サイズの紙1枚に、こんな項目を書いておきます。

■ タイトル「緊急連絡カード」

■ 氏名:ゆるら(本名)

■ 生年月日

■ 緊急連絡先(長女・長男・次女のお名前と電話番号)

■ 持病:関節リウマチ(MTX服用中)・うつ療養中

■ かかりつけ医:クリニック名と電話番号

→ 救急隊・病院が真っ先に確認する場所。 → 倒れた瞬間から家族にバトンが渡る仕組み。

長女がする手続きの順番(家族への手順メモ)

  1. 遺言書を確認(自宅の重要書類ファイル)
  2. 死亡届を役所へ(7日以内・葬儀社が代行可)
  3. 家庭裁判所に検認の申立て(1〜2ヶ月)
  4. 戸籍を広域交付でまとめて取得
  5. 法定相続情報一覧図を法務局で無料発行
  6. 楽天証券・楽天銀行・住信SBIネット銀行へ郵送提出
  7. 振込・名義変更完了
  8. 3人で均等に分配

→ 全体3〜4ヶ月(検認1〜2ヶ月を含む)、長女が中心で動けば完結。

客観的に見たゆるらの状況

  • 相続人3人(均等分割で揉めにくい)
  • 配偶者なし(配偶者控除の必要なし)
  • 不動産なし(評価が複雑な財産なし)
  • 金融機関3つ(すべてオンライン手続きで完結)
  • 遺言+執行者指定済み(長女ひとりで動ける)

→ 相続実務でいちばんシンプルな部類。 → 専門家(司法書士・弁護士)報酬ゼロで完結できる構成。 → 総費用 ¥5,000〜¥15,000程度の見込み。

やっておきたい最終チェック10項目

  1. 遺言書を作成して自宅の重要書類ファイルに保管(死亡後は長女が検認手続き)
  2. 相続人が明確(配偶者なし・子ども3人)
  3. 財産一覧を1枚にまとめる(銀行2+証券1)
  4. 証券口座情報をメモ(楽天証券の部店コード・お客様コード)
  5. 相続ファイル1冊を作成(A4クリアファイル)
  6. 重要書類の保管場所を長女に共有
  7. 家族への行動メモ(手順書)を入れる
  8. 戸籍取得方法(広域交付)を整理
  9. 相続税の目安(基礎控除¥4,800万円)を理解
  10. 家族へのメッセージを残す

定期的に更新する3項目(年1回)

  1. 財産一覧(残高・口座変更があれば更新)
  2. 証券口座の保有内容(売買があれば更新)
  3. 連絡先(住所・電話番号変更があれば更新)

→ 誕生日・年末など、節目に「相続ファイル」を開いて見直す習慣を。

私の保管方法

  • 遺言書:自宅の重要書類ファイル(費用¥0)
  • 相続ファイル本体:自宅の重要書類引き出し(遺言書も同じファイル内)
  • 1Passwordにも金融機関のログイン情報・解約手順を保存
  • エンディングノートに「相続ファイルは◯◯の引き出し」と明記
  • 緊急連絡カードは財布に常時携帯

遺言書と相続実務編、まとめ

  • 自筆証書遺言を自宅保管(費用¥0・死亡後は長女が家庭裁判所で検認1〜2ヶ月)
  • 遺言+執行者指定(長女)で、長女ひとりで完結
  • 死亡から凍結までは家族の連絡待ち(法定期限なし)
  • 凍結前の葬儀費用引き出しは可能(領収書必須・兄弟同意)
  • 凍結後の仮払い制度で1金融機関150万円まで可能
  • 銀行・証券3社の必要書類は9割共通
  • 法定相続情報一覧図(無料)で戸籍束を削減
  • 相続税は基礎控除¥4,800万円以下ならゼロ
  • 相続ファイル1冊で家族の迷いゼロに

さいごに

Vol.22で「遺言は子どもへのプレゼント」と書きました。 今回 Vol.34 では、そのプレゼントを「実際にどう使うか」の取扱説明書を書きました。

長女よ。 私が亡くなった日、まずこのページを開いてください。 順番どおりに進めれば、迷うことなく手続きが進みます。 急がず、ぼちぼちでいい。

長男・次女よ。 長女が中心で動きますが、戸籍1通の取得だけ、協力してください。 あとは、長女に任せて大丈夫。

3人で仲良く、均等に。 これがお母さんの願いです。

明日は何にしようかな。 ぼちぼち、続けていきます。


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