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透析看護師20年。体を壊して気づいたこと。

信頼できる主治医がいる、ということ|リウマチ通院5年で気づいたこと

2026年5月3日

信頼できる主治医がいる、ということ|リウマチ通院5年で気づいたこと

リウマチを抱えて、5年が経ちました。

3か月ごとに、リウマチ科クリニックに通っています。

お薬が切れる頃に、症状の変化を伝えて、また3か月分のお薬をもらう。 それだけのことを、淡々と続けてきました。

そんな淡々とした通院の中で、私はある大切なことに気づいたんです。

「信頼できる主治医がいる、ということ」の、本当の意味でした。

半年ぶりの採血

退職してから、血液検査の機会がぐっと減りました。

働いていた頃は、職員検診で年に3回、血液検査を受けることができていたんです。 その結果を主治医に持参すれば、リウマチ科で余分な検査はされませんでした。

「あ、最近のデータあるんですね。じゃあこれを見ますね」

そう言ってくれる主治医に、患者の財布事情への寄り添いを、いつも感じていました。

退職して半年以上、私は血液検査をしないままでした。

その日の受診で、主治医がこう言ってくれたんです。

「ちょっと採らせてくださいね。お薬を続けるなら、確認しておきたいので」

ささやかな緊張と一緒に、私は左腕を差し出しました。

久しぶりの採血。 看護師として何百回もしてきた処置を、今日は患者として受ける。

その不思議な感覚を、私は黙って味わっていました。

クレアチニン 0.80

院内の簡易検査の結果が、すぐに出ました。

クレアチニン 0.80。 基準値は 0.46〜0.79。

ほんのわずかに、基準値を超えていました。

胸の奥が、少しだけざわつきました。

主治医はカルテを見ながら、穏やかに説明してくれました。

「院内の簡易検査は、誤差が出ることがあるんです」 「念のため、院外の正式な検査にも追加で出しますね」

そして、こう付け加えてくれたんです。

「これはクリニックで負担しますから、ご安心ください」

私の中の小さな不安が、ふっとほどけていきました。

検査ひとつ、お金ひとつのことなのに。 その配慮が、患者の心をどれほど軽くしてくれるか。

主治医は、それをわかっている方でした。

数日後のメール

数日後、主治医からメールが届きました。

「クレアチニン値は院外検査でも正常範囲内でした」 「わざわざ受診していただかなくて大丈夫ですよ」

ああ、また優しい、と思いました。

通院ひとつにも、時間と交通費と、心の支度がいるものです。

それを知っている主治医が、メールで結果を伝えてくれる。 受診不要、と添えてくれる。

私はメトトレキサート2錠を継続することに決めて、感謝のメールを返しました。

赤沈と MMP の結果は、週明けに連絡をもらえることになっていました。

週明けに届いた、もう一通のメール

そして週明け、もう一通メールが届きました。

「いつも遠方から御来院頂きありがとうございます」 「先日の血液検査の結果ですが、炎症マーカーの赤沈が2mm、関節炎特異マーカーの MMP が54.7 と正常範囲内でありました」 「現状の治療を継続して頂き、著変なければ3か月後に御来院ください」

——いつも遠方から御来院頂きありがとうございます。

その一行を読んだとき、目の奥が少しあたたかくなりました。

医師の方から、患者に「ありがとう」と言ってくれることがあるなんて。

通院することを、当たり前ではなくて、ありがたいことだと思ってくださっている。

赤沈も MMP も正常範囲内。 今のまま、3か月後にまた来てください。

それだけのお知らせなのに、文面の温度のせいで、心がふっとほどけていきました。

看護師20年の目で見ても

私は、透析室の看護師として20年、働いてきました。

たくさんのお医者さんを見てきました。

検査オーダーひとつにも、医師の人柄は出るものです。

「念のため」と言いながら、本当に念のためにと検査を出す医師もいれば、患者の経済的負担まで考えて検査項目を絞ってくれる医師もいます。

リウマチ科の主治医は、後者の方でした。

そして、検査結果の伝え方ひとつにも、患者の負担を減らそうとする姿勢がにじんでいます。

「受診しなくて大丈夫」 「クリニックで負担します」 「いつも遠方から、ありがとうございます」

ひとつひとつの言葉が、患者の生活を想像した上で選ばれている。

そういう医師に出会えることは、本当にめずらしいんです。 看護師として20年見てきた私が、そう思います。

あなたへ

リウマチや、ほかの慢性疾患で長く通院されているあなたへ。

「主治医を信頼できる」というのは、それ自体が大切な治療の一部だと、私は思っています。

お薬が効くかどうか。 副作用が出るかどうか。 検査の値が下がるかどうか。

それも、大事です。

でも、それと同じくらい——

不安な気持ちを正直に話せること、 分からないことを「分かりません」と言えること、 通院の負担をちゃんと知ってくれていること。

そういう関係性そのものが、慢性疾患と長く付き合っていく、静かな力になります。

もし今、主治医との関係に違和感を抱えているなら、無理しないでほしい。

セカンドオピニオンも、転院も、患者が自分の心を守るための、大切な選択肢です。

「信頼できる場所に、通えていますか?」

それを、ときどき自分に問いかけてみてくださいね。

信頼できる主治医がいる、ということ

リウマチは、これからもずっと付き合っていく病気です。

症状が悪化する日が来るかもしれません。 お薬を変える日が来るかもしれません。

そのとき、信頼できる主治医がそばにいてくれる——

これは、リウマチを抱える私にとって、どんな治療にも勝る安心です。

5年通って、はじめて気づいたことがあります。

主治医を信頼できることは、ただの幸運ではないということ。 医師の側の毎日のふるまいによって、少しずつ、少しずつ、育っていくものなんだ、ということ。

3か月後、また同じクリニックの扉を開けます。

お薬が切れる頃に、症状の変化を伝えに行きます。

その淡々とした通院が、私にとっては、大切な居場所になっています。