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透析看護師20年。体を壊して気づいたこと。

患者さんから教わったお金の知恵|温かい高齢女性との時間

2026年5月3日

患者さんから教わったお金の知恵|温かい高齢女性との時間

透析看護師として、20年。

私が患者さんから「教えていただいた」ことは、数えきれません。

その中でも、忘れられない方がいらっしゃいます。

時折、温かい言葉をかけてくださった、ある高齢女性の患者さん。

その方が私に教えてくださったのは、看護のことではありませんでした。

暮らしの知恵と、お金の話でした。

看護師は、患者さんから学ぶ仕事でもある

看護師というと、「患者さんに教える側・支える側」と思われがちです。

でも、長く現場で働いてみると、それだけではないと気づきます。

私は、患者さんから教えていただくことの方が、ずっと多かったように思うのです。

人生経験。 病気との向き合い方。 家族のこと。 そして、暮らしの知恵。

20年の透析看護の中で、私はたくさんの「先生」に出会いました。

ある高齢女性との出会い

その方は、透析の時間、私が処置をする間に、ぽつりぽつりと話しかけてくださる患者さんでした。

「ゆるらさんは、いつも頑張っているわね」

そんな言葉を、何度かけていただいたか分かりません。

私がシングルマザーで子どもを育てながら、看護学生を経て看護師になったこと。

ある日、ふとした会話の中で、その方にお話ししたことがありました。

その方はそれを覚えていてくださって、ことあるごとに、私を気にかけてくださったのです。

醤油のストック|特価日に買う知恵

ある日、その方がぽつりとこんな話をしてくださいました。

「ゆるらさん、調味料はね、特価日にまとめて買っておくのよ」

例として教えてくださったのが、醤油でした。

「いつも使うものは、安い日に何本か買い置きしておく。それだけで、お財布がずいぶん楽になるのよ」

私はそれまで、「無くなったら買う」というスタイルでした。

特価日を意識する習慣が、私には全くなかったんです。

その方の言葉に、ハッとしました。

子育てと仕事に追われて、毎日を必死に回していた私には、「先回りして買い置きする」という余裕の発想がなかったのかもしれません。

シンプルな知恵なのに、新鮮でした。

その日から、私は特価日を意識して、調味料をストックするようになりました。

ささやかなことですが、家計に確かに余裕が生まれていきました。

「私が体験してから、教えるわね」

その方は、お金の話も、必ずご自身が体験してから私に教えてくださいました。

積立NISAという制度が始まった頃。

(これは、現在の新NISAが始まる前の、旧NISAの時期のお話です)

「ゆるらさん、こういう制度があるらしいわよ」 「でも、まずは私が体験してからね。様子を見て、また教えるわね」

そう言って、ご自身が先に始めてくださったのです。

「自分が体験していないことを、若い人にすすめるのは無責任だから」

そういう考え方をされる方でした。

その姿勢に、私は深く心を打たれました。

患者さんなのに、看護師の私を案じてくださる気持ち。

ご自身で実体験して確かめてから、私に伝えようとしてくださる誠実さ。

「お金の話」というよりも、「人としての在り方」を教えていただいたような気がしています。

私もNISAを始めた日

その方が体験して、感想を教えてくださってから、約2年後。

私も、自宅近くの駅前にある証券会社の窓口で、普通NISAを始めました。

「窓口で相談しながら始める」というのが、その当時の私には安心だったんです。

そして、始めてから、私はNISAについて自分でも勉強し始めました。

本を読んだり、ネットで情報を集めたり。

すると、こんなことが分かってきたんです。

「窓口で買うより、ネット証券で買うほうが、手数料がずいぶん安い」

知らなかったら気づかないことでした。

ネット証券への移管と、続いた勉強

私は思い切って、ネット証券への移管手続きをしました。

最初は不安もありましたが、手続き自体は意外とスムーズで、長期的には手数料の差が、じわじわと効いてくることも実感しました。

ちょうどその頃、新NISAへの制度変更の時期に重なって、私は新旧の制度をまたぎながら、運用を続けていきました。

最初に教えてくださった、あの患者さんの「種」が、私の中で、少しずつ育っていったのです。

「もっと増えていくはずですよ」

その方は、私が勉強し続けている様子を、いつも温かく見守ってくださいます。

ご自身もNISAを長く続けていらっしゃる先輩なのに、ご自身の話を「自慢」されるようなことは決してありません。

謙遜される方なんです。

「私はね、たいしたことやってないのよ」 「ゆるらさんのほうが、勉強熱心ですごいわよ」

そう言いながら、励ましの言葉をかけてくださいます。

「もっと増えていくはずですよ。続けてみてくださいね」

その言葉を、私は今でも心の中で繰り返しています。

看護師と患者さんの関係から、生まれたもの

透析の現場で出会う患者さんとは、長く同じ施設に通われる関係です。

何年も。 ときには10年以上。

同じ顔を見続ける時間。

その積み重ねの中で、看護師と患者さんという立場を越えて、お互いに「人として」関わる時間が生まれます。

このご縁は、職場でしか得られないもの。

でも、職場での日々の積み重ねがあったからこそ、こうした「人と人」の関係が育まれていったのだと思います。

患者さんから学べることに、年齢は関係ない

私は当時、看護師として10年以上のキャリアがありました。

それでも、人生の知恵では、その方の足元にも及びません。

50代、60代、70代と歳を重ねた患者さんが持っていらっしゃる経験値は、本当に深いんです。

私は、看護を提供する立場でいながら、毎日のように何かを教えていただいていました。

「教える」と「教わる」は、立場で決まるものではないんですね。

人生の先輩から、いただいたものは数えきれません。

まとめ|ありがとうの気持ちを、いつまでも

その方とのやり取りは、私の人生に確かな足跡を残してくれました。

醤油のストックという小さな知恵から始まって、NISAという長期的な視点まで。

そして何より、「自分が体験してから人に伝える」という、人としての在り方を教えていただきました。

看護師の仕事は、患者さんに何かを「与える」だけではありません。

患者さんから「いただく」ものが、本当にたくさんある仕事です。

その豊かさに気づけたとき、看護師として働き続ける意味が、もう一段深くなりました。

ありがとうの気持ちを、これからも忘れずに。

そう胸に置きながら、私は今日も、患者さんから教わった日々を、大切にしまっています。

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