透析看護師として20年|現場で見てきたやりがいと自分に恥じない働き方
「透析看護師って、どんな仕事?」 「20年も同じ分野で働き続けて、何を感じてきたの?」
そんな疑問にお答えする形で、透析看護師として歩んだ20年の道のりを綴ります。
私が伝えたいのは、教科書や求人情報には載らない、現場のリアルと、長く続けてこれた理由です。
透析看護師として20年、見てきたこと
正看護師として透析室に配属されてから、私は気づけば20年以上、透析看護の現場で働いてきました。
慢性腎不全の患者さんが、週に3回(月水金、または火木土)定期的に通院し、1回4時間の透析を受ける。
その治療の現場で、看護師として私は患者さんを支える役割を担ってきました。
20年という時間は、ベテランと呼ばれる年月ですが、振り返ってみると、毎日が学びの連続でした。
64床の病院から、市内の透析クリニックへ
正看護師としての最初の職場は、看護専門学校を併設する64床の病院の透析室でした。
中央で区切られたA・Bチーム制で、7対1看護が始まった頃。リーダー業務、急変時の救急回収、チーム連携の基本を、ここで身につけた4年弱でした。
奨学金のお礼奉公期間が満了した後、もう少しだけ続けてから、私は退職を決断します。
退職後はハローワークで失業保険の手続きを進めましたが、「失業保険を満額もらうより、早く新しい職場に就職した方が、結果的に収入が多くなる」と知りました。
そこで、早期就職手当金をありがたくいただいて、市内の透析クリニックに転職。
そこから18年以上、同じクリニックで透析看護師として歩んできました。
透析クリニックでの仕事の流れ
クリニックでの透析看護は、規則正しいリズムで進みます。
朝、患者さんを迎え入れて、シャント部分の確認から始まります。透析装置に接続し、4時間の治療を進めながら、患者さんの状態を継続的に観察。
血圧、表情、訴え、ささいな変化。
すべてが大切な情報源でした。
患者さんは何年も、ときには10年以上、同じ施設に通われます。
私たち看護師も、長くお付き合いさせていただく中で、患者さんの個性を深く知っていく仕事です。
急変時の対応|呼吸を確保して、大きな病院へ繋ぐ
透析中に患者さんの容態が急変することは、決して珍しくありません。
血圧低下、不整脈、意識消失。
そんなとき、私が経験してきたクリニックでの対応は、こんな流れでした。
■ 呼吸が確認できない場合の対応
- すぐに補液を開始
- 救急カートを持ち寄る
- 酸素吸入を開始
- 緊急回収(透析回路から血液を体に戻す)
- 呼吸が戻った状態で、大きな病院へ救急搬送・引き継ぎ
私が経験した範囲では、呼吸を確保し、大きな病院へ繋ぐところまでが、クリニック透析室の役割でした。
(施設や時代によって対応の幅は異なります。同じクリニックでも、随分前には先輩がエンゼルケアを担当した話を聞いたこともあるので、「クリニック=こうあるべき」と一概には言えません)
この急変対応の流れを、20年の中で何度も経験してきました。
「いかに早く判断し、いかに正確に動くか」
この鍛錬が、透析看護師としての力を育ててくれたと思います。
やりがいを感じた瞬間|患者さんから信頼を得たとき
20年の中で、私が一番のやりがいを感じたのは、患者さんから信頼を寄せていただけた瞬間です。
数年、ときには10年以上、同じ患者さんを担当することがあります。
最初はぎこちなかったやりとりが、いつの間にか「ゆるらさんに任せたい」と言ってもらえる関係に変わっていく。
そんな患者さんは、決して多くはありません。
「極々わずかな方々」だったと、自分では思います。
それでも、
「あなたが今日いてくれて良かった」 「いつもありがとう」
そう言ってもらえる瞬間が、私にとっては何物にも代えがたい支えでした。
患者さんとの信頼関係は、一朝一夕には築けません。
長い時間をかけて、少しずつ積み重ねていくもの。
その時間こそが、透析看護の醍醐味だと私は思います。
チームワークの難しさは、どの職場にもある
正直にお伝えすると、透析看護の現場でも、人間関係の難しさはありました。
どの職場にもありがちなことですが、真面目に働く人ほど仕事を任される現象。
これは、医療現場でも例外ではありません。
私も、「サボらない人」として周りから頼られる中で、少しずつ疲弊していった時期がありました。
それでも、私が大切にしてきたのは、ひとつの心の支えでした。
「自分に恥じない働き方を選ぶ」という心の支え
周りの環境がどうであれ、私が選択できることはひとつ。
それは、自分の全力を尽くして、自分に恥じない働き方を選ぶことでした。
誰かのサボりを責めても、私の心はラクにはなりません。
医師に訴えても、現場の人間関係はすぐには変わりません。
ならば、私自身が「これでいい」と思える働き方を、自分で選ぶ。
患者さんに対して誠実に。 同僚に対して、必要な協力は惜しまず。 無理は我慢せず、相談すべきは医師に相談する。
この姿勢で20年、透析看護師として歩んでこれたと、今は思っています。
透析看護を目指すあなたへ
これから透析看護の道を考えている方に、私の経験から伝えたいことをまとめます。
■ 規則的な勤務スケジュール
透析は曜日と時間が決まっているため、勤務形態が比較的安定しています。
私が経験した透析室は、早出・日勤・準夜勤のシフト制で、夜勤はありませんでした。子育てとの両立もしやすい分野でした。
(ただし、施設によっては夜間透析を行うところもあるため、勤務形態は施設ごとに確認することをおすすめします)
■ 患者さんと長く向き合える
何年も担当する患者さんがいるのは、透析看護の大きな魅力。深い関係性の中で、看護の本質を学べます。
■ 急変対応のスキルが磨ける
透析中の急変対応を繰り返し経験することで、判断力と動きの正確さが鍛えられます。
■ 体力とチームワークが必須
シャント穿刺、患者さんの移送、緊急対応。体力勝負の場面も多くあります。チームでの動きが命を守ります。
■ やりがいは、信頼関係から
短期で派手な達成感は少ないかもしれません。でも、長い時間をかけて築く患者さんとの信頼関係には、深いやりがいがあります。
まとめ|20年の透析看護が、私に教えてくれたこと
透析看護師として20年、私が学んだことはいくつもあります。
その中で一番大切だったのは、「自分に恥じない働き方を選ぶ」という、自分自身との約束でした。
誰のためでもなく、自分のために、誠実に働く。
その積み重ねが、ベテランと呼ばれる年月を作り、患者さんとの信頼関係を育ててくれました。
これから透析看護の道を歩むあなたへ。
簡単な仕事ではありません。
でも、長く続けるほどに、見えてくる景色があります。
その景色を、いつか一緒に語れる日が来ることを、楽しみにしています。
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